クリニックブログ

2019.12.18更新

妊娠高血圧症候群は、妊婦さんの 約20人に1人の割合で起こる といわれ、妊娠34週未満で発症した場合、重症化しやすく注意が必要です。


妊娠高血圧症候群とは

(妊娠20週より前に「高血圧」を発症しあた場合は「高血圧合併妊娠」と呼ばれます)

 ●「妊娠高血圧症」の判断
 上の血圧値(収縮期血圧)が 140mmHg以上(重症では160 mmHg以上)、または下の血圧値(拡張期血圧)が 90mmHg以上(重症では110 mmHg以上)になった場合

 妊娠高血圧症に加え、尿中に蛋白が1日当たり0.3g以上(重症では2g以上)出た場合を、「妊娠高血圧腎症」と呼ばれます。

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どんな人がなりやすいの?
一般的に妊娠高血圧症候群のリスクが上がるといわれているのは下記の方です
 ・もともと糖尿病、高血圧、腎臓の病気などを持っている方
 ・肥満の方
 ・40歳以上の方
 ・家族に高血圧の人がいる方
 ・双子などの多胎妊娠の方
 ・初めてのお産(初産婦)の方
 ・以前に妊娠高血圧症候群になったことがある方

原因は、妊娠によって血管内皮細胞が傷害されたり全身への血流が悪くなるためといわれていますが、結論はまだ出ていません。


妊娠高血圧症候群は、赤ちゃんとお母さんにどんな影響があるの?
妊娠高血圧症候群は、お母さんと赤ちゃんの命に危険が及ぶこともあり、とても恐い状態です。

<赤ちゃんへの影響>
・胎児発育不全(赤ちゃんの発育が悪くなる)
・常位胎盤早期剥離(出産の前に胎盤が子宮の壁からはがれて赤ちゃんに酸素が届かなくなる)
・胎児機能不全(赤ちゃんの状態が悪くなる)
・いずれの場合も(最悪の場合)胎児死亡の可能性があります

<お母さんへの影響>
・血圧上昇、蛋白尿、むくみ
・けいれん発作(子癇)
・脳出血
・肝臓や腎臓の機能障害
・HELLP症候群(肝機能の障害と溶血という血液の障害)

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治療法はあるの?
治療は、<安静>と<入院>が中心になりますが、根本的にこの病気を治すためには妊娠を終了する必要があります。お母さんや赤ちゃんにとって妊娠を続けることが良くないと考えられた時には、たとえ赤ちゃんが早く生まれても妊娠を終わらせること、即ち出産が一番の治療となります。
また、けいれんを予防するためにお薬を用いることがありますが、急激に血圧を下げると赤ちゃんの状態が悪くなることがありますので、降圧剤は医師が慎重に使用します。
通常、出産後はお母さんの症状は徐々に良くなります。(ただし重症化した方は、出産後も高血圧や蛋白尿が持続することがありフォローアップが必要となります)


予防法はあるの?
この病気の予防については未だ確立されたものはありませんが、妊娠中の急激な体重増加や全身性のむくみは、その後の血圧上昇につながる可能性が高いため当院では特に以下の3つに注意するよう指導しております。

①体重増加
妊娠中の適切な体重増加は妊婦さんそれぞれによって異なります。肥満や急な体重増加は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクとなります。妊娠中期以降は500g/週 以上の体重増加は要注意です。

②塩分の取りすぎ
1日の塩分量は10g以内に抑えましょう(小さじ2杯程度)
血圧の上昇やむくみの兆候がみられる場合には塩分の摂りすぎに注意が必要となります。レモンやごま、大根おろしなどで味付けの工夫をしましょう。また、減塩のものや出汁で割ったりすると塩分を抑えることができます。

③疲れ
疲労回復の為に午前と午後1時間ずつ横になって休みましょう。横になると子宮や腎臓への血流が増し、血圧も安定します。また長時間の携帯電話の使用やテレビ観賞も疲労や血圧上昇の原因になりますので注意しましょう。

 

参考文献)

日本産婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=6
日本医科大学 「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」
https://www2.nms.ac.jp/hahanet/sign1_3_1.html

writing:院長 大井(医師)

 

投稿者: おおいウィメンズクリニック

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