クリニックブログ

2021.12.24更新

みなさんは、「子宮頸がん」をご存じでしょうか。

「子宮頸がん」とは
子宮下部の管状の部分を子宮頸部、子宮上部の袋状の部分を子宮体部と呼び、それぞれの部位に生じるがんを子宮頸がん、子宮体がんといいます。 子宮頸がんは子宮がんのうち約70%程度を占めます。以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。

sikyuu

子宮頸がんのほとんどは、発がん性のあるHPV(Human Papilloma Virus)への感染により引き起こされます。日本では子宮頸がんにより毎年約3,000人の女性が亡くなり、約10,000人が治療を受けつつ不自由な生活を余儀なくされています。

子宮頸がん予防ワクチン(以下HPVワクチン)は世界保健機関(WHO)が接種を推奨し、多くの先進国では公的接種とされています。世界全体でみると罹患率、死亡率ともに減少していますが、残念ながら日本だけが先進国でありながら微増している状況です。

 

HPVワクチンの効果
日本では3種類のワクチン(2価サーバリックス、4価ガーダシル、9価シルガード9)が使用されています。いずれのワクチンもワクチンに含まれているタイプのHPV感染症を防ぎ、子宮頸がんなどの発病を予防します。ワクチンの種類にもよりますが、約70%~90%の子宮頸がんを予防できるとされています。日本より7~8年前からワクチン接種をはじめた欧米やオーストラリアでは、ワクチンの有効性が報告されています。

 

HPVワクチンの種類

wakutin

 

定期接種のサーバリックスとガーダシルは、接種スケジュールと成分が異なりますので、初回に接種したワクチンと同じ種類のワクチンを必要回数受けることが必要です。

 

HPVワクチンの対象者と接種スケジュール

定期接種対象 小学校6年生~高校1年生相当の女性

※2021/12 現在、積極的勧奨を中止していた1997~2005年度生まれの女性も無料接種の対象となりました。接種を受けられる期間は2022年4月から2025年3月の3年間です。また、2006~2007年度生まれの女性も2024年度までに順次無料接種の対象に含められる予定です。

※HPVは若い人ほど感染しやすくなりますので、初めての性行為の前までに受けることで予防効果が高まるとされていますが、対象年齢以上の女性でも感染を予防するうえでワクチンの接種は有効です。

サーバリックス
中学1年生までに接種をはじめ、初回接種の1か月後に2回目、初回接種の6か月後に3回目を接種します。

ガーダシル
中学1年生までに接種をはじめ、初回接種の2か月後に2回目、初回接種の6か月後に3回目を接種します。

 

ワクチンの副作用
tep1

2013年までに報告された因果関係が否定できない重い副作用

tep2

 

ワクチンはどこに接種するの?
子宮頸がん予防ワクチンは、肩に近い腕または大腿部(太もも)の筋肉に注射します。

 

HPVワクチン接種の積極的勧奨が差し控えられた時期がありました
我が国は2013年からHPVワクチンを定期接種として積極的な勧奨をはじめ、当時の対象年齢者の接種率は70%を超えていました。しかし接種後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのに体の一部が勝手に動いてしまうこと)等を中心とする「多様な症状が生じたとする報告」により国は調査のため積極的勧奨を一時中止し、接種率は1%以下に低下しました。
調査の結果、このような多様な症状の原因がワクチンであるという科学的な証拠は示されておらず、厚生労働省専門部会においても因果関係は否定されています。

 

HPVワクチン接種だけでなく、子宮頸がんの検診も定期的に受けましょう
ワクチンに含まれていないタイプのウイルスによる子宮頸がんもありますので、必ず子宮がん検診を受けてください。検診を受ける率は、欧米では約80%ですが、日本では約20%とたいへん低いのが問題です。ワクチンを受けた方でも20歳を過ぎたらすべての女性は子宮がん検診を受けることが大切です。

 

当院のHPVワクチン接種について
当院では、来年初旬よりHPVワクチンの予防接種を開始予定です。
当院のHPVワクチン接種は、痛みに弱い方も安心して接種いただけるよう部分麻酔パッチを用いた処置を行う予定です。
ワクチン種類、料金、接種開始日等の詳細が決まりましたら当該ページ及びお知らせ欄にてご案内いたします。

 


引用・参考文献)

厚生労働省)
ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/
https://www.mhlw.go.jp/content/000679682.pdf
HPVワクチンに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_qa.html#Q2-9


VDPを知って、子どもを守ろう。の会)
HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン(子宮頸がんなどの予防ワクチン)
https://www.know-vpd.jp/children/va_c_cancer.htm

日本経済新聞)2021年12月23日 記事
97~05年度生まれ無料で接種、HPVワクチン 厚労省
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA236830T21C21A2000000/

日本産婦人科学会)日本産婦人科学会会報 令和3年12月1日発行
HPVワクチン接種積極的勧奨再開へ

日本産婦人科学会)子宮頸がん
https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=10

子宮頸がんゼロプロジェクト)
思春期女子のワクチン接種(保護者の方へ)
http://www.cczeropro.jp/kenshin/preventive/vc_parents.html

 

投稿者: おおいウィメンズクリニック

2021.12.24更新

みなさんは、「子宮頸がん」をご存じでしょうか。

「子宮頸がん」とは
子宮下部の管状の部分を子宮頸部、子宮上部の袋状の部分を子宮体部と呼び、それぞれの部位に生じるがんを子宮頸がん、子宮体がんといいます。 子宮頸がんは子宮がんのうち約70%程度を占めます。以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。

sikyuu

子宮頸がんのほとんどは、発がん性のあるHPV(Human Papilloma Virus)への感染により引き起こされます。日本では子宮頸がんにより毎年約3,000人の女性が亡くなり、約10,000人が治療を受けつつ不自由な生活を余儀なくされています。

子宮頸がん予防ワクチン(以下HPVワクチン)は世界保健機関(WHO)が接種を推奨し、多くの先進国では公的接種とされています。世界全体でみると罹患率、死亡率ともに減少していますが、残念ながら日本だけが先進国でありながら微増している状況です。

 

HPVワクチンの効果
日本では3種類のワクチン(2価サーバリックス、4価ガーダシル、9価シルガード9)が使用されています。いずれのワクチンもワクチンに含まれているタイプのHPV感染症を防ぎ、子宮頸がんなどの発病を予防します。ワクチンの種類にもよりますが、約70%~90%の子宮頸がんを予防できるとされています。日本より7~8年前からワクチン接種をはじめた欧米やオーストラリアでは、ワクチンの有効性が報告されています。

 

HPVワクチンの種類

wakutin

 

定期接種のサーバリックスとガーダシルは、接種スケジュールと成分が異なりますので、初回に接種したワクチンと同じ種類のワクチンを必要回数受けることが必要です。

 

HPVワクチンの対象者と接種スケジュール

定期接種対象 小学校6年生~高校1年生相当の女性

※2021/12 現在、積極的勧奨を中止していた1997~2005年度生まれの女性も無料接種の対象となりました。接種を受けられる期間は2022年4月から2025年3月の3年間です。また、2006~2007年度生まれの女性も2024年度までに順次無料接種の対象に含められる予定です。

※HPVは若い人ほど感染しやすくなりますので、初めての性行為の前までに受けることで予防効果が高まるとされていますが、対象年齢以上の女性でも感染を予防するうえでワクチンの接種は有効です。

サーバリックス
中学1年生までに接種をはじめ、初回接種の1か月後に2回目、初回接種の6か月後に3回目を接種します。

ガーダシル
中学1年生までに接種をはじめ、初回接種の2か月後に2回目、初回接種の6か月後に3回目を接種します。

 

ワクチンの副作用
tep1

2013年までに報告された因果関係が否定できない重い副作用

tep2

 

ワクチンはどこに接種するの?
子宮頸がん予防ワクチンは、肩に近い腕または大腿部(太もも)の筋肉に注射します。

 

HPVワクチン接種の積極的勧奨が差し控えられた時期がありました
我が国は2013年からHPVワクチンを定期接種として積極的な勧奨をはじめ、当時の対象年齢者の接種率は70%を超えていました。しかし接種後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのに体の一部が勝手に動いてしまうこと)等を中心とする「多様な症状が生じたとする報告」により国は調査のため積極的勧奨を一時中止し、接種率は1%以下に低下しました。
調査の結果、このような多様な症状の原因がワクチンであるという科学的な証拠は示されておらず、厚生労働省専門部会においても因果関係は否定されています。

 

HPVワクチン接種だけでなく、子宮頸がんの検診も定期的に受けましょう
ワクチンに含まれていないタイプのウイルスによる子宮頸がんもありますので、必ず子宮がん検診を受けてください。検診を受ける率は、欧米では約80%ですが、日本では約20%とたいへん低いのが問題です。ワクチンを受けた方でも20歳を過ぎたらすべての女性は子宮がん検診を受けることが大切です。

 

当院のHPVワクチン接種について
当院では、来年初旬よりHPVワクチンの予防接種を開始予定です。
当院のHPVワクチン接種は、痛みに弱い方も安心して接種いただけるよう部分麻酔パッチを用いた処置を行う予定です。
ワクチン種類、料金、接種開始日等の詳細が決まりましたら当該ページ及びお知らせ欄にてご案内いたします。

 


引用・参考文献)

厚生労働省)
ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/
https://www.mhlw.go.jp/content/000679682.pdf
HPVワクチンに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_qa.html#Q2-9


VDPを知って、子どもを守ろう。の会)
HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン(子宮頸がんなどの予防ワクチン)
https://www.know-vpd.jp/children/va_c_cancer.htm

日本経済新聞)2021年12月23日 記事
97~05年度生まれ無料で接種、HPVワクチン 厚労省
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA236830T21C21A2000000/

日本産婦人科学会)日本産婦人科学会会報 令和3年12月1日発行
HPVワクチン接種積極的勧奨再開へ

日本産婦人科学会)子宮頸がん
https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=10

子宮頸がんゼロプロジェクト)
思春期女子のワクチン接種(保護者の方へ)
http://www.cczeropro.jp/kenshin/preventive/vc_parents.html

 

投稿者: おおいウィメンズクリニック

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